想像の海へ ~メディテレーニアンハーバー編~
2015/05/17
ディズニーランドに続き、日本にできた2番目のパークが東京ディズニーシーです。絶叫系アトラクションや、異国情緒あふれる景観、アルコール飲料を提供するなど、大人が楽しめるパークとして誕生しました。現在では、ダッフィーやトイ・ストーリー・マニア!などが登場し、どんな世代でも楽しめるようになってきています。
TDLに比べ、細かい設定やバックグラウンドストーリーが各所に存在し、アトラクションやショーだけにとどまらず、美術面や細かな設定面で、多くのファンを獲得しています。そこで、TDLに続き、バックグラウンドストーリーや細かな仕掛けをご紹介していきます。
冒険とイマジネーションの海
東京ディズニーシーは、2001年9月4日、「さあ、冒険とイマジネーションの海へ」というキャッチコピーのもと、グランドオープンしました。「テーマポート」と呼ばれる、エリアに分かれ、リトル・マーメイドやアラジンなど、ディズニーシーのコンセプトに沿った世界観で、各エリアにテーマが存在します。
TDSのシンボルは、プロメテウス火山と思われがちですが、ゲートを通ってすぐの広場「ディズニーシー・プラザ」にある、「アクア・スフィア」と呼ばれる大きな地球儀です。この地球儀は、直径約8メートル、約3分30秒で一回転します。
メディテレーニアンハーバー
ディズニーシー・プラザを通り、ホテル・ミラコスタの下を抜けると、目の前にはハーバーやプロメテウス火山が現れます。このテーマポートが「メディテレーニアンハーバー」です。このテーマポートは、地中海はイタリア・北西部にある漁村ポルトフィーノや、5つの集落「チンクエ・テッレ」などの港町、運河の街・ヴェネツィア、スペインやポルトガルの要塞を、モチーフにした3つのエリアに分かれています。
イタリアの港町
イタリア北西部の港町をイメージしたエリアが、「ポルト・パラディーゾ」です。ホテル・ミラコスタがあるエリアでもあります。モチーフとなっているポルトフィーノは有名なリゾート地で、別荘地としても人気のある地域です。
増築された建物
ポルト・パラディーゾは、ホテル・ミラコスタの建物がエリア(陸地)の大半を占めています。1階部分はパーク内のショップやレストランがあり、それよりも上の階がホテル・ミラコスタ部分になっています。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、このエリアの建物はずっと続いています。そして、部分部分で色も見た目もバラバラです。モチーフにしているポルトフィーノでは、実際に建物が繋がっているように見えます。そして、カラフルな見た目がとても印象的なのですが、その理由として、隣の家と自分の家の見分けがつくようにしているそうです。
では、ポルト・パラディーゾではどうでしょう?
ポルトフィーノとは違い、ポルト・パラディーゾの建物は、次々と増築されていったために、今の姿になっているんです。
元々この土地の地主であった、ザンビーニ家の三兄弟
ワインとオリーブオイルを作っていた兄弟は、ワイナリーを改装して、レストランを開きました。そして、彼らの別荘をホテルとして改装し、S.E.A会員や次々と訪れる観光客のためにホテルを増築していった、というわけです。つまり、ポルト・パラディーゾ一体の始まりは、「ザンビーニ・ブラザーズ・リストランテ」ということですね。こうしてみるとレストランの建物はかなり年季が入っていますね。
壁に描かれただまし絵
では、ホテル・ミラコスタの壁に注目してみましょう。遠目から見ると色々な彫刻や窓がたくさんあります。ですが、近づいてよく見ると、本物ではなく、描かれたものであるのがわかります。
これは「トロンプ・ルイユ」と呼ばれるだまし絵を描く手法で、身近なもので言えば、トリックアートにもよく使用されています。実際にモデルとなっているイタリアの港町でもよく描かれていて、わざわざ職人を浦安市へ招いて完成させたそうです。
それにしてもすごいです。ホテルの窓枠は全てこのだまし絵なのに加え、ホテルの窓のどこかに洗濯物を干す女性の姿も描かれています。遠目でみると、本物にしか見えないので、ちょっぴり驚いてしまいます。
3艘の船
プロメテウス火山を正面に眺めることができる、大きな広場の水辺には、魚を獲るための網や、漁師が乗る船など、港町を再現した様々なプロップスがあります。
その中に、QUI・QUO・QUAと書かれた3艘の船があります。それぞれ、ヒューイ・デューイ・ルーイのイタリア語の名前です。彼ら三人は、ドナルドの甥っ子で、TDLではパレードにも登場しています。
ちなみに、QUOの船に描かれた目は、魔除けとして描かれる絵だそうです。
運河の街
メディテレーニアンハーバー2つ目のエリアは、アトラクション「ヴェネツィアン・ゴンドラ」が行き交う、パラッツォ・カナルです。このエリアは、イタリア北東部の都市・ヴェネツィアをモチーフにしています。ヴェネツィアは、「水の都」や「アドリア海の真珠」との別名を持ち、ヴェネツィア湾に形成された「ラグーナ」と呼ばれる潟(島のようなもの)に築かれた都市です。
都市の真ん中を運河が流れているため、地上の通りは狭くなってしまい、自動車などがほとんど使えないため、ゴンドラや水上ボートを利用しているそうです。映画やドラマなどでもよく見かけるので、イメージしやすいとは思います。パークの中では、日本にいながら、まるで本物のように美しい景色を体験することができます。
高潮の跡
モチーフとなっているヴェツィアでは、運河を中心とした生活を送っています。家の玄関口が運河に面していたり、警察や消防も船舶を利用して、移動しています。水路の面積が多い為、水害が多いそうです。特に、「アクア・アルタ」と呼ばれる高潮が厄介だそうです。この現象は、この地方特有の「シロッコ」(いわゆる季節風)が、ヴェネツィア特有の地形によって風の強さが増し、そのタイミングで満潮が重なると起こるそうです。水位が高くなると、都市内部まで浸水してしまうこともあります。
パラッツォ・カナル内では、その高潮の跡がしっかりと再現されているんです。
建物の壁に、白い線が2本ありますね。これを見る限り、2回高潮がおこったのでしょうか?それぞれ高さも違いますね。実際にご覧いただくと高さなどもわかりやすいのですが、お子様の頭の高さは超えていますね。
この辺りは、ゴンドラや「リストランテ・ディ・カナレット」、「ゴンドリエ・スナック」があるエリアで、利用する機会がないとほとんど通らない場所かもしれません。最近では、ジェラトーニの絵が描かれていたり、イベントのオブジェが置かれていたので、ゲストさんが増えていましたが、絵もなくなってしまったので、閑散としています。とても落ち着いた雰囲気なので、お散歩がてら寄ってみるのもいいと思います。
大航海時代の要塞
フォートレス・エクスプロレーションは、大航海時代のイベリア半島にあった要塞を再現したエリアです。イベリア半島には、スペインやポルトガルがあります。大航海時代といえば、15世紀末から17世紀半ばのスペインやポルトガルなど西欧の国が、大西洋やインド洋へと新たな発見を求めて進出していった時代です。ヴァスコ・ダ・ガマやコロンブス、マゼランなどが活躍していました。
大きな要塞が目立つエリアですが、アトラクション内は3つに分けられています。
- フォートレス
- キー
- ルネサンス号
自由に歩いて周ることができ、展示物や仕掛けなどが多数存在し、見て触ることができます。
フォートレス
要塞部分です。本物の要塞は、敵軍の侵入に備え、要塞内部の作りを迷路のようにしています。フォートレス・エクスプロレーションでは、かなり忠実に要塞を再現しているので、アトラクション内も実際に迷路のようになっています。慣れていても迷ってしまうくらいです。入口付近に地図があるので、それを持って入るのがおススメです。
要塞内には様々な部屋や展示物があります。そばにキャストさんがいたら、話を聞いてみましょう。詳しい解説と共に、トリビアがきけるかもしれませんよ!
イリュージョンルーム
四角い小さな部屋に、凹レンズが置かれています。奥の壁と天井、床の5面に絵が描かれていて、普通に見ると角ばった部屋ですが、凹レンズを通してみると、1枚の絵に見えます。とても不思議な部屋です。
ペンデュラムタワー
高い天井から振り子が吊り下げられている部屋です。地球の自転をみることができます。振り子の周りには、たくさんの杭が円形に立っています。時間の経過とともに、振り子が杭を倒していきます。「フーコーの振り子」と呼ばれるもので、本来なら研究所や博物館でみられるものです。パーク内で常にみられるのは、貴重ですね!
エクスプローラーズ・ホール
S.E.A会員メンバーである、12人の冒険家や探検家の肖像画が飾られている部屋です。他に冒険の記録などが壁に描かれています。
カメラ・オブスキュラ
メディテレーニアンハーバーの風景が映し出されている部屋です。映し出されるのは、部屋の中央にあるボードで、部屋の上部から光が送り込まれています。ハンドルがあるのですが、それを回すと風景が動き、ハーバーを360°見ることができます。
チェインバー・オブ・プラネット
太陽系儀と呼ばれる、太陽系の惑星を再現した大きな模型がある部屋です。部屋の中央に6つのハンドルがあり、それぞれ水星、金星、地球、火星、木星、土星を動かすことができます。惑星の公転周期を再現しているので、ハンドル1回転に対してそれぞれ動く距離が違います。
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アルケミーラボラトリー
錬金術が行われている部屋です。実際に実験を行っているわけではありませんが、様々な薬品や実験器具が置かれています。
ナビゲーションセンター
ラジコンの船を操作できる部屋です。16世紀ごろまで人々が信じていた、平面の地球上を走行します。大航海時代で「
地球平面説」が覆されましたが、それまでは地球は平面状か円盤状であると信じられていました。
1回100円でラジコンを動かすことができます。操縦桿にマークがあるので、同じマークの付いた船を操縦できます。
フライングマシーン
レオナルド・ダ・ヴィンチの発明を再現したものです。「オーニソプター」と呼ばれるはばたき機で、実際にプロペラや翼を動かすことができます。
ザ・レオナルドチャレンジ
フォートレス・エクスプロレーション内で、ミッションをクリアしていくプログラムです。プログラム専用の入口がレオナルド・ダ・ヴィンチからの指令を聞きます。そこで地図を受け取ります。地図には様々な指令が書かれていて、フォートレス内の仕掛けを利用して謎を解き、探検家や冒険家たちが結成したS.E.Aのメンバーを目指します。
入口は、レストラン「マゼラン」の入口のそばです。ミステリアス・アイランド側からフォートレス・エクスプロレーションへ向かうとわかりやすいと思います。基本的に年齢制限や身長制限はありませんが、ひたすら歩くのに加え、階段の上り降りもあるので、ご高齢の方や体力に自信のない方はご注意ください。出入りは自由なので、1度休憩してからでも大丈夫です。
S.E.Aメンバー
そもそも、フォートレス・エクスプロレーションが何のためにあるのか。ザンビーニ兄弟の件でも少しご紹介しましたが、12人の冒険家や探検家が新たな知識を取得を目指すための学会”S.E.A”を結成し、その活動に興味を持ったザンビーニ兄弟が要塞を学会の拠点として提供した、というものです。S.E.Aとは、”Society of Explorers and Adventures”の略称で、「冒険家・探検家学会」という訳になります。
このS.E.Aメンバーには、主に大航海時代に活躍した冒険家や探検家などが所属しています。
- レオナルド・ダ・ヴィンチ(発明家、芸術家など万能人)
- クリストファー・コロンブス(探検家)
- マルコ・ポーロ(冒険家)
- エンリケ航海王子(探検事業家)
- ヴァスコ・ダ・ガマ(探検家)
- フェルディナンド・マゼラン(探検家)
- フランシス・ドレーク(イギリス海軍中将)
- ピュテアス(地理学者)
- ティコ・ブラーエ(天文学者)
- イブン=バットゥータ(法学者)
- クラウディオス・プトレマイオス(天文学者)
- レイフ・エリクソン(航海者)
最後に
今回はディズニーシーのテーマポートである、メディテレーニアンハーバーについてご紹介しました。ですが、ご紹介しているのはほんの一部で、調べ始めると、歴史や建築物について詳しく調べることになります。ディズニーシーに関しては、細かい設定が至る所にちりばめられていて、1人1人が考え出すストーリーが生まれます。明確な答えはなく、十人十色の考察が出てくることになります。ディズニーシーを歩く際には、「想像力」を働かせてみると、とても面白いですよ。
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