ディズニーリゾートの音の秘密
2015/03/31
ディズニーランドやシーの中には、たくさんの音楽が溢れています。
年代やモチーフとなる場所などが違う様々なエリアに分けられ、それぞれの雰囲気に合ったBGMや効果音が流れています。その他にも、パレードやショー、アトラクションのBGMなど、何気なく耳にしていると思います。
そんなパークの音楽にも様々な工夫がされています。一体どんな工夫がされているのでしょうか?今回は、少々専門的になってしまいますが、ディズニーリゾートのBGMについてご紹介していきます。
音の向き
エリアごとのコンセプト
パーク内は、それぞれ7つのエリアに分かれていて、各エリアはコンセプトが決まっています。例えば、ランドのトゥモローランドは「近未来」、シーのアメリカンウォーターフロントは「20世紀初頭のアメリカ」など、年代や設定されている場所が違うんです。そのため、BGMもそのコンセプトに合ったものが使われています。
エリアの境目
パーク内の各エリアは繋がっていて、簡単に行き来ができます。そこで、BGMに耳を傾けてみると、エリアとエリアの境目ではBGMが混ざることがありません。これはもう有名な話になっていますが、エリアとエリアの間に「水」を流すことでBGMを掻き消しているというものです。水を流すということは、主に滝があることを指すのですが、全てのエリアに滝があるわけではないのです。
ランドのアドベンチャーランドとウエスタンランドの間には滝があるので、水の音で1度リセットするということが言えますが、ファンタジーランドとウエスタンランドの境目はどうでしょう?特に水の音がするわけではなく、音を遮るような木が生い茂っているわけでもありません。では、どのような仕組みになっているのでしょうか?
実は、様々なところに設置されているスピーカーに秘密があるんです。各エリアに合ったBGMや効果音を出しているのは、目に見えるスピーカーではなく、巧みに隠されたスピーカーから出ています。
このスピーカーは、微量の音量調節や音の方向を細かく設定してあるんです。特にエリアの境目にあるスピーカーは指向性という、音や電波を特定の方向に強く発信する仕組みを利用しています。つまり、音の方向を決まったエリア内だけに向けたり、音量を調整することで、音が混ざり合わないようにしているんです。
ディズニーランド編
先ほどの写真は、アドベンチャーランドの「スイスファミリーツリーハウス」の正面あたりにある、並んでいるオブジェの写真です。大きな顔のオブジェが5つ並んでいるのですが、その口に当たる部分がスピーカーになっています。
トゥーンタウンでは開いている窓からスピーカーが見えます。
ウエスタンランドは西部の街並みを表現したエリアですが、プロップスと呼ばれる様々な置物があります。その中で、建物のベランダなどに置いてある、樽や箱がスピーカーになっています。
一方で、植え込みの中にあるスピーカーは目立たないように設置してありますが、緑色のシンプルなものです。
ディズニーシー編
ダッフィーの故郷である、ケープコッドエリア。ダッフィーを販売しているショップの2階部分を見てみると、窓扉が閉じている窓があります。その部分にスピーカーが隠されています。
要塞をモデルにした「フォートレス・エクスプロレーション」には、ガリオン船で遊べるエリアがあります。そのエリアの積み荷や、船に取り付けられた網の中にスピーカーが隠れています。
メディテレーニアンハーバーにあるレストラン「ザンビーニ・ブラザーズ・リストランテ」の横を通る道の途中には、石柱のスピーカーが置かれています。
指向性を利用した仕組みや、巧みにスピーカーを隠す技法はアトラクションにも使用されています。例えば、イッツ・ア・スモール・ワールドやカリブの海賊などの、ライドスルータイプのアトラクションです。建物の中にあるため、壁や天井への反響などを防いだり、実際に聴こえているBGMが、不自然に消えたり大きくなってしまわないように、調整されています。
パレード・ショーの秘密
ディズニーでの醍醐味といえば、パレードやショーですよね。ランドではパレードルートを何台ものフロートが通過するパレ―ド、シーでは大きなハーバーを使ったメインショーが行われています。やはりそこにも音に関する工夫がされています。
ディズニーランドのパレード
ランドのパレードでは、主に2種類のBGMを流すことで成り立っています。1つ目は、パレードルート沿いに立っている大きな固定スピーカーから流れています。
このスピーカーから、「アンダーライナー」と呼ばれるパレードのテーマであるメロディを流します。それにより、目の前にフロートがなくてもテーマ音楽が常に聞こえている状態にあります。さらに、各フロートが来るタイミングに合わせて、時間差でエリア毎にアンダーライナーを流しています。
フロートと固定スピーカーはセンサーで同期されていて、フロートの位置をスピーカー側が確認できるようになっています。どのエリアからパレードを見ても、同じ内容で見ることができます。
2つ目は、フロートに合わせた効果音やBGM、キャラクターのセリフなどを、フロート本体から流しています。デザインに紛れるようにスピーカーからの音を出す箇所があります。
先ほどご紹介したエリアBGMと同じように、フロートからの音楽も向きを調整しています。フロートのスピーカーから正面方向に向かって音を流しているので、フロートが遠ざかると、そのフロートからの音楽が聴こえない仕組みになっています。
ディズニーシーのハーバーショー
シーならではといえば、メディテレーニアンハーバーで行われるハーバーショーですね。ランドのパレードとは違い、一カ所で行われるので、たくさんのスピーカーが使用されています。安全面や、景観を損ねないよう、大半のスピーカーはショー中以外は格納されています。
ショー中は写真のような大きなスピーカーがハーバーを囲むように出現します。ランドにあるスピーカーよりも更に音質が良くなっています。
メディテレーニアンハーバーは、ホテルミラコスタがハーバーの周りを囲むように建っています。
<ハーバー全体.JPG>
そのため、音の反響が最低限になるよう、指向性スピーカーを使用し、音量や音の向きが調整されています。プロメテウス火山側からショーを観ていると、やはり反響が少し起こりますが、ゼロにするのもとても難しいことです。とはいえ、最低限の反響に抑えているので、快適にショーを鑑賞することができます。
ちなみに
各アトラクションには様々な「音」が存在します。ライドスルータイプのアトラクションは、水の流れに乗ってライドが進んでいきます。アトラクションの内容に支障が出ないように、水の音が極力聞こえないように厳しい設計基準があるそうです。それとは逆に、音が出るように設計されているアトラクションもあります。
「ウエスタンリバー鉄道」の蒸気機関車はエンジン音が聞こえるように装置が設置されていたり、シーにある「エレクトリックレールウェイ」は、電車が通過する音をあえて大きくし、アメリカの20世紀初頭当時を再現しているそうです。
さらに、ディズニーシーのテーマポートである「ロストリバーデルタ」は、古代遺跡があるジャングルのエリアですが、効果音としてどこからか動物たちの鳴き声が聞こえてきます。この鳴き声は、昼と夜で聞こえてくる音が変わるんです。そんな設定がされているだけでも驚きですが、実際に本物のジャングルで録音されたものだそうです。
最後に
いかがでしたか?とても細かな工夫がされていることで、何の違和感を感じることなくパークを楽しむことができるということですね。このように、パークの中には普段は気にならないようなところも、少し気にしてみると面白いことがたくさんあります。ご興味があれば、探索しながらパークを楽しんでみてください!
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